シリーズ③ 英国学生マンションには注意 保証賃料を分析

今回で3回目の英国学生マンション関連記事になるので、もうこれはシリーズ化してしまいます。これまでも多くの日本人の投資家の方から問い合わせを受けてきた中で、一番学生マンション関連が多いので詳しく分析をしてみました。

前回の記事をご覧になられていない方は、下記もご覧ください。
シリーズ①学生マンション投資

シリーズ②続:学生マンション投資には注意!


今回は保証賃料がどれだけ、実現可能かについて分析してみたいと思います。実現可能かというと「そもそも保証じゃないの?」と疑問に思いますが、実現可能かどうかはサブリース会社が破綻するかしないかという判断にもなるので一番気を付けたいところです。どうも日本でもサブリースの賃料保証はサブリース会社が破綻する「あるある」失敗事例のようですが、英国も同じに近い状態のようです。

賃料相場の調査は自分で必ず行う!

まず、保証賃料だか、はじめに自分で必ず調査をしたほうがいいと思います。その物件が実際にどの程度の賃料で貸し出される見込みがあり、どの程度稼働し、年間賃料はいくらになるのであろうかという自己分析が必要です。販売業者がどういう分析をするかは参考までにしておき、その答え合わせができないようであれば、投資家として購入するべきではないと思います。

実際の賃料水準が大体わかれば、その保証利回りが適正であるかはわかると思います。例えば、相場賃料が月£600だとした時に、毎月£600保証していたら、貸出や管理コストはどこからでてきているのか?と疑問に思うはずです。もうこれだけでも黄色信号に気付くはずです。

学生になったつもりでグーグル検索して賃料相場を確認

これが誰でもできる簡単な方法です。購入する物件がある都市の学生マンションを借りる学生の立場から検索してみてください。例えば今回は英国中部の街シェフィールドで検索をしてみます。グーグルに「Student accommodation in Sheffield」と打てば、ページ一面にでてくるのは、学生マンションの賃貸サイトばかりである。検索1ページ目だけで10件以上の学生マンション・オペレーターの検索結果があがってきます。これを実際にいくつか見ていきたいと思います。

今回検索対象とするのは、キッチン・バス付のスタジオルームのスタンダードタイプで検索してみたい。

どれも市内の中心街にある学生マンションで大手が一棟管理で運営しているものなどは、内容がいいのかその分価格も高めである。学生マンションの賃貸には通常、年51週借りる事を前提にしたレートと44週借りるレートがあります。多くの大学生は長い夏休みは一時帰国したり実家に帰省する事から44週のレートも設けられています。紹介やキャッシュバックキャンペーンで£200-300がもらえるようなケースもあるようです。

44週(43週)51週
学生マンションAなし週£149/年間£7599
学生マンションBなし週£179/年間£8929
(£200キャッシュバック)
学生マンションC週£125/年間£5,500週£120/年間£6,120
学生マンションD週£175/年間£7,700週£149/年間£7,599
貸出広告の例

上記のサイトの提示賃料がどの程度厳密で交渉されずに、貸出がされているのかは不明ですが、ある程度の目安になると思います。

賃貸コストを考える

では、実際に賃貸をするのにどのようなコストがかかっているのかという事を考えてみましょう。これはあくまでも予想に過ぎませんが、ざっくりこんなコストがかかっている事を忘れないでほしいです。ここからデベロッパーのキャッシュフローが大丈夫であるかという事がわかってくると思います。

  • 賃貸・管理手数料:賃料の8%
  • 共益費(Service Charge): £1200
  • 地代(Ground Rent): £300
  • 修繕:£300
  • 光熱費:£360
  • 各種検査等:£100

上記はあくまでも予想なので、物件によっては光熱費をテナントに支払わさせているところもあれば、建物全体で支払、共益費に込みにしている場合もあったり、その他の費用も物件によってまちまちであると思います。またこれ以外に何かコストがかかる物件もあると思います。

上記の例にあげた「学生マンションA」からこの費用を引いてみます。年間賃料は£7,599であるから、費用をすべて控除するとネット賃料は£4,731.08となる。グロス賃料とネット賃料の差額は£2,867.92である。

販売例: 販売価格£90,000、利回り保証7.5%、5年保証、竣工予定は2022年夏!

上記のような販売例をよく見るが、仮にこれに当てはめてみましょう。

この販売事例に基づくと年間£6,750の保証賃料が入ってくきます。サブリース業者は年間£7,599の賃料で貸し出すとします。そうするとなんと差額年間£849だけしかサブリース業者はコストに回す事ができない事になります。先ほどのコスト例に基づき本来コストが£2867と推定した場合、差額£2,018を5年間どこから捻出するのかという事が疑問になります。数百室あるような学生マンションがフル稼働するわけもないので、空室も考慮しないといけないません。

もうお分かりですね。。。

£2,018を5年間、計£10,000近いコストは、予め売買金額に乗っていると思うのが正しいと思います。サブリース業者はボランティアではありませんので、費用はきっちり考えているはずです。不動産の価値プラス保証料の先払いをしているだけなのです。なので、転売時にはそもそもの不動産価格がおかしいので、同じ価格で売れるわけがないと思います。

購入金額の内訳を考える

前述のような仕組みとなっている案件が多いようで、£90,000の購入代金の場合、£10,000を本来であれば、デベロッパーが保証賃料の支払いのためにとっておかないといつかキャッシュフローが圧迫されます。しかしながら、デベロッパーというのは、一棟完成させたら次のプロジェクトを取り組もうとします。次のプロジェクトを始めるにもお金がかかりますので、このような大金を寝かせておくわけもなく、うやむやになってしまうのが現実だと思います。

5年後の売却を考える

では、更にシナリオとして、5年後に保証賃料期間が終了した段階で売却をする事を試みてみましょう。

築5年後、順調に同じ金額で年間賃料£7,599を受け取る事ができたと仮定し、保証期間が終わっていますので必要経費は大家さんの負担となります。経費は先ほどの例に基づくと£2,867.92となり、ネット賃料は£4,731.08となります。5年後、保証賃料が終わった後のネット利回りは5.3%となります。購入金額と同じ金額で転売したいと思った時、この利回りで購入希望者がいるかという事を考えないといけません。以前にも書きましたが、学生マンションは現地の人でもローンをつける事ができません。シェフィールドの一般の物件を投資用に購入した場合の表面利回りは7%前後で、ローンもつける事ができます。と考えるとまず5.3%では売る事ができないとわかります。

では販売時と同じ利回り7.5%で販売を試みた場合、賃料から逆算し£63,081で販売ができる事になります。かなりのマイナスでの転売となってしまいます。転売の場合、竣工リスク等もなくなり、賃料実績もあるので、もう少し低い利回りで売れる事を期待し、期待利回り6%で価格設定すると£78,851となります。

このように賃貸リターンを分析する事によって、「サブリース会社の破綻リスク」「保証期間後のネット利回り」「転売価格」などが読めてくると思いますので必ず、自分で調べる事をオススメします。

今回のシナリオ分析の結果を5年間のリターンにまとめますと下記のようになるかと思います。5年後にネット6%で転売できたという設定で考えたいと思います。

購入価格£90,0001年目収益£6,750
2年目収益£6,750
3年目収益£6,750
4年目収益£6,750
売却£78,8515年目収益£6,750
キャピタルロス£11,149合計£33,750
総収益
(購入・売却経費含まない)
£22,6015年間のリターン25%

5年間で25%のリターンとなりますが、購入・売却経費と所得税・税理士費用等は入れていませんので、それらが合計で£10,000であった場合、5年間でたったの14%のリターンしか得られない事になります。(年率3%以下!)また、プレビルドで購入代金を前払いしているわけですから、仮に竣工2年前に50%の購入代金を支払っている場合は、6年の投資と考える必要があり、更に年率リターンは低くなるかと思います。

以上、今回はちょっと辛口になってしまい、すでに購入されている方々には非常にきつい内容となってしまっていると思いますが、参考にしていただけると大変うれしいです。また学生マンション関連でこんなことを経験したという実体験をされた方がいましたら、コメント欄にご記載頂き、シェア頂ければご覧いただいている皆さんにも有益な情報となるかと存じます。

その他ご質問等ございましたらコメント欄にご記載ください。

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